日本財団 図書館


 

さらにスピードアップや運行の高頻度化もあると思います。ドアトゥドア、戸口から戸口へとトータルなコストとして低廉でなければ利用してもらえないことになるので、乗り継ぎ運賃など諸外国では運輸連合という形で異なる事業者、異なる交通手段である市電や地下鉄等と一体化した運賃形態というような新しい工夫がなされています。これらを含めて市民が移動する時にドアトゥドア性・低廉性のある仕組みを工夫していく必要があるのではないでしょうか。
3番目が、かわりやすく、使いやすいサービスということで、例えば「次のバスはその街角を曲がっている」等のバスの運行状況を含めて自宅でも把握可能となる情報提供は非常に大きなポイントではないかと思います。
後は利用者にやさしいサービスシステム・環境にやさしいシステム・都市にやさしいシステムということで本日のテーマそのものを提示していますが、内容的には事例紹介が主であり、高齢者・障害者にとって乗りやすいバスの事例を、また環境にやさしいという点で現在のバスは残念ながらディーゼルエンジンを使用しているため音も大きく、排ガスも出ることで利用者が少ないと環境上問題が大きいシステムであるということも事実です。利用者が多ければマイカーに比べて非常に環境上もやさしいが、利用者のいないバスというのは公害の基になるということも注意せざるを得ないかと思います、こうした点については技術の開発動向に鑑みつつ社会的にどの様に育成していくかが重要なポイントではないかと思います。
都市にやさしいシステムについては、広義と思うが、まちづくりに貢献する様な公共交通が必要であり、とくに地方部で顕在化してきているモータリゼーションの進展による都市の空洞化に対して、バスはバスなりに貢献できるのではないかと思います。
技術的な可能性については、コンピュータを使った運行管理、情報管理という面で高まってきています。問題はそれを社会的に認知し、実現していくための地域からのアプローチや支援が非常に重要ではないかと思います。交通という視点だけではなく、都市づくり、地域経営という視点から地域交通全体をみていく必要があり、その際には徒歩・自転車や自動車を含めた交通の全体を視野に据えた議論をしていくことが重要と思います。こうしたまちづくりの視点からバスが活躍している事例(スライド)を紹介したいと思います。
都心の活性化・再生への支援という事例としては、都心からショッピングセンターやオフィスが郊外に移ってしまい、従来の歴史的資産でもあるまちの顔を育て、活性化に向けるため、ユニークな議論をしているのがアメリカ・デンバー(人口190万人)があげられる。都心部1マイルシティで高度が1600mの16番街に長さが1.6?q(1マイル)の公共交通としてのバス走行空間を確保したトランジットモールを整備した例である。これは、両端が地下のバスターミナルとなり、この中心街については完全に無料で運行している。上から見た写真だが、直線に1.6?q通っている。右に見えるのが道路上を利用した都心のショッピングセンターで路上を旨く使用し、公共交通と併せて再開発している例である、実際のバスはこの様な形で、無料ということもあり、かなり低床のバスでドアを広くし、乗り降りをやさしくしている。1〜2分間隔で次々とブロック毎に停留所があるといった運行をしている。一部には、電気バスというものも導入されている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION